長く住んでもらう時代

「アパートを建てるなら貨物線沿いに建てろ」「日当たりの悪いところにアパートを建てろ」

これらは、一度入居した人にすぐに出ていってもらうこと、回転率を上げる意図した話です。30年も昔の話です。

回転率を上げればその都度、家賃とは別に入ってくる敷金や礼金を得ることができるからです。できれば年に何度も敷金と礼金を回収し、そのお金で建築費を回収してしまおうという魂胆です。

東京にワンルームマンションなどの学生用アパートやマンションが多く出来た理由に、学生は早ければ1年、長くても4年で出ていってくれるので回転率がいいという大家側の思惑があったのも事実。ファミリー向けの賃料にくらべ、学生向けは坪単価の賃料が高いだけではなく回転率がいいというのも魅力だったのです。

しかし昨今の賃貸市場では「一番ありがたい入居者は、とにかく長く住んでくれる方」とどの大家も口を揃えて言います。

現在、原状回復は原則大家負担という判例や条例があり敷金は全額返すものと想定しなければなりませんし、礼金が取れない物件も増えました。

つまり現在では、回転率を上げると逆に出資が重なり、大家の首を締めることになるのです。

さらに、空室を埋めるのに数ヶ月かかったり、斡旋をしてくれた業者に礼金を数カ月分払ったりする地域もあります。

一昔前に比べ、日本の賃貸マーケットの需要バランスはまさに180度変わったといえるでしょう。

現在のような借り手市場では、当然ながら、回転率アップの手法は採用できないということです。

これから不動産投資を始めるならば、借りてから選ばれ、長期にわたって住んでもらえる物件に投資をしなければなりません。

そしてそういった物件を創っていかなればならないということです。